梅雨真っただ中の日本列島、窓館のある北九州市もすっきりしない空模様が続いています。
まとわりつくような蒸し暑さにうんざりしますが、梅雨が明ければ夏本番。
海水浴やキャンプ、バーベキューなど、夏ならではのレジャーを楽しみに雨をやりすごしている人も多いのではないでしょうか。
そんな「梅雨が明けたらしたいこと」のリストに今年から加えてほしいのが「カーテンの洗濯」です。
楽しい夏を目前になぜ今このタイミングで?と思うかもしれません。
ですが、このタイミングでカーテンの洗濯をおすすめするのには理由があるんです。
梅雨の時期は、カーテンが水分を吸って湿りがちになり、さらに窓の開け閉めも少なくなるため、ホコリや汚れが付着しやすい環境です。
汚れと湿気が合わさると、カビが繁殖しやすくなるのですが、湿度の高いこの時期にカーテンを洗うと乾くまでに時間がかかり、生乾きの状態が続けば逆にカビの温床になりかねません。
そこで梅雨明けを待っての洗濯です。
梅雨明けの快晴は、梅雨の間にたまった汚れを一掃する最高のタイミング。
清潔なカーテンで夏を迎えるために、ぜひとも実践してほしいのです。
そうはいっても、日頃からカーテンを洗濯しているという人は少数派かと思います。
具体的な方法がわからなかったり、なんとなく難しそうという理由で、長らく手入れができていない方も多いのではないでしょうか。
そもそも「カーテンって家で洗えるの?」という声もよく耳にします。
私たちカーテン屋の答えは、「ほとんどのカーテンは家庭で洗える」です。
最近のカーテンは家庭での洗濯を前提としたウオッシャブル機能付のものがほとんどですので、特別な設備や技術がなくても自宅で洗えます。
必要なのは正しい知識だけです。
ここからは、カーテンの洗濯にあたって抑えるべきポイントを順を追って説明していきますので、ぜひ参考にしながらご自宅での洗濯にチャレンジしてみてください。
カーテンの生地には様々な種類があり、それぞれ適した洗い方があります。
まずはカーテンについている洗濯表示タグを確認しましょう。タグには、以下のようなマークが記載されているはずです。他にもいろいろなマークが目に入るかもしれませんが、今回は「洗濯の仕方」に関するもののみ紹介します。
水をはったバケツのような図に数字が書かれたものは「洗濯機で洗える」ことを示しています。数字は洗濯に使うお湯の上限温度です。古いカーテンではバケツ型ではなく洗濯機のような四角いマーク(旧マーク)の場合もあります。
また、バケツに手を入れているマークは「手洗いができる」という意味です。洗濯機で洗うことはできませんが、手洗いなら洗濯することが可能です。
バケツに×印のマークは「家庭での洗濯禁止」の意です。このマークがついているカーテンは残念ながら自宅で洗濯することが難しいので、クリーニングに出しましょう。綿や麻、レーヨンなど自然素材でできたカーテンにはこのマークがついていることが多いです。こうした素材のカーテンは無理に洗うと縮んだり色落ちする可能性があるためプロに任せたほうが安全です。
余談ですが、昔のカーテンには洗濯表示がないものも多くありました。専門家である我々はまだしも、一般のお客様にとっては洗濯に関する手がかかりが何もないため、「そもそも洗えないもの」と解釈されるのも無理はありません。こうした事情もあり、「カーテンは洗えない」というイメージが浸透していったのでは、と感じます。
さて、洗濯表示を確認したらいよいよ洗濯のスタートです。
【前処理】
カーテンの表面には空気中を漂うほこりが多く付着しています。水洗いをする前に掃除機やはたきでやさしく落としておきましょう。カビやシミがある場合も、事前にケアしておくと仕上がりに差が出ます。軽度なら濡らしたタオルなどで軽くたたくだけで落ちる場合もありますよ。
頑固なカビやシミには塩素系漂白剤を使用するのも手ですが、なかなか扱いが難しく、生地を傷めたり色落ちしたりすると取り返しがつかないため私はおすすめしません。今回の話の趣旨から逸れるようではありますが、あまりにひどい場合はクリーニング店に相談するのがベターです。
【たたみ方】
フックを外したカーテンを、ひだに合わせてアコーディオン状にたたみ、大きめの洗濯ネットに入れます。たたむ際は汚れている面が表になるようにすることで、より汚れが落ちやすくなります。ネットに入れるのは多くの商品に施されている、形態安定加工をなるべく生かすためです。
【洗濯機の設定】
ウォッシャブルとはいえ基本的にカーテンはデリケートなものです。「デリケートコース」または「手洗いモード」など、生地への負担が少ない洗い方を選びます。洗剤は中性洗剤、できればおしゃれ着用(デリケート衣類用洗剤)を使用しましょう。柔軟剤を併用するとシワになりにくく、静電気を防ぐことでほこりや花粉が付きにくくなる効果も得られます。
【脱水・乾燥】
「短時間脱水(長くても30秒程度)」を選びます。脱水しすぎるとシワがつきやすくなるので注意が必要です。洗濯機での脱水が心配な場合は「脱水なし」でそのまま取り出すことも可能です。むしろ少し水が滴るくらいの状態で干したほうが型崩れせずきれいに乾きます。
乾燥機は縮みの原因になるため使用は避け、風通しの良い場所で陰干しします。大きな物干し台を用意しなくても、カーテンレールに濡れたままかければ、シワを防ぎながら乾かせますよ。
【前処理・たたみ方】
手洗いの場合も前処理やたたみ方は洗濯機で洗うときと同様です。
【洗濯液の準備】
カーテンが入るサイズの容器にぬるま湯を張ります。容器は大きめのたらいや洗濯桶なら文句なしですが、用意できない場合は浴槽や洗面台などでも代用できます。洗剤はデリケート衣類用のものを選び、ぬるま湯に溶かして洗濯液を作りましょう。
【洗い方】
すぐに洗い始めたくなる衝動を抑え、まずはカーテンを洗濯液に浸し10分程度つけ置きします。カーテンについた汚れを浮かせて取れやすくするのが目的です。つけ置きが終わったらカーテンを手で優しく押すようにして洗います。カーテンの汚れを洗濯液の中に溶かし出すイメージです。汚れが気になる部分は、生地を傷めない程度に軽くこすってみましょう。全体に負担をかけず部分的な汚れに対処できるのは手洗いならではのメリットですね。
【すすぎ】
汚れが落ちたと感じたら、洗濯液を捨てて再び水を溜め、すすぎます。水が澄んで泡が出なくなるまで何度か繰り返します。洗剤がカーテンに残らないよう、しっかりすすぎましょう。
【脱水・乾燥】
脱水・干し方については洗濯機で洗った場合と同じです。シワにならないよう、カーテンレールに掛けて干しましょう。
手洗いは手間こそかかりますが、洗濯機よりもカーテンに与えるダメージが小さく、生地にやさしい洗い方です。カーテンをいたわることを優先するなら最適な方法と言えます。
以上、カーテンの洗濯方法について、お話させていただきました。洗濯表示に従い正しい手順で行えば、実はそれほど難しくないことがわかっていただけたかと思います。
カーテンの適切な洗濯頻度は、レースカーテンが年2回、ドレープカーテンが年1回程度とされていますので、毎年梅雨明けを洗濯の合図と決めておけば、タイミングを逃さず清潔なカーテンを保てますよ。(ちなみに、2回目の洗濯には気候の穏やかな秋がおすすめです。)
皆様、今年は梅雨が明けたらぜひカーテンの洗濯にトライしてみてくださいね!